ふちどり

後ろ見ながら前に進む、僕の日記。

話題の本


よくしゃべる蛙の夢を見て起きたその次の日の夜、数少ない友人とお酒をのんだ。


珍しく僕から連絡を取った。忙しい奴なので、まあもし空いていたら、くらいの気持ちだったが、ものの数分で返事が来て驚いた。ちょうど数駅先の中華料理屋で、約束していた相手にすっぽかされ暇をしていると言うので、合流した。

僕が店に着くとすぐ、彼は鞄から一冊の本を取り出した。それは今巷で話題のエッセイ本だった。彼は、この本にどのような価値があるのかわからない。ひと通り読んでいろいろ考えてみたが、なぜ売れているのかさっぱりわからない。と言った。

彼はやさしい。価値が無さそうに見えるものに価値を見出そうと、時間とエネルギーを割いている。彼は素直だ。売れているものには何かしらの価値があるべきという、当たり前のようでかなり歪んだ前提の部分に何ら疑問を持っていない。
僕は彼のことが少し羨ましかった。本当に良いものは売れるとは限らない、あくまで良さそうなものがよく売れる、ということを感じずに今日まで生きることができているなんて、かなり運が良い。

 

帰り際、君も読んでみるといい、と彼はそのエッセイ本を貸してくれた。僕はそれを読むのだろうか。