ふちどり

後ろ見ながら前に進む、僕の日記。

透明な1円玉

 

僕には最近ずっと気になっていることがある。

なんて書くと、なんだか思わせぶりで、書きながら少し愉快な気持ちになる。でもまあそんな大した話ではない。それは次のようなこと。

 

よく通る道に、1円玉が落ちている。

 

路面は茶色いレンガ調。そこに落ちている1円玉は、かなり目立つ。見落とせと言う方が難しいくらい、ほんとうに、目立つ。そこを通りがかる人はみんなその1円玉を目にしていることだろう。実際僕はあの道を通るとき、もれなく「あっ、1円玉」と思いながら通りすぎる。

でも、誰も拾わない。

 

誰が言い出したんだか知らないけれど、なんとなくみんなが知っている話というものがこの世にはいくつか存在していて、そのひとつに、1円玉を拾う労力は1円以上だから見つけても拾うと損する、という話がある。
そもそも1円玉を拾う労力がどうしたらお金に換算されるのか、僕のお粗末な頭ではいまいち掴みかねる。でもまあそれは置いといて、それにしても、ほんとうに、不思議なくらい誰も拾わない。僕自身なんだか良くわからないけれど、拾おうという気にはならない。なぜだろう。なんだかあの路上の1円玉が気になって気になって仕方がない。

あの1円玉は、ずいぶん長いことずっとそこにある。僕が見つける前から落ちている可能性もあるが、少なくとも僕があの1円玉を認識してから、かれこれ5ヶ月は経っている。

さすがに、さすがにそろそろ誰か拾っても良くない?と思う。

 

もしかしてあの1円玉は僕だけに見えていて、他の人が通るときは透明で見えないとか?などと妄想してみて、通るたびにふふふって楽しい気持ちになる。

まあそんなわけないけれど、楽しいので、路上のあの1円玉がなぜ拾われないのかはもう深く考えないことにする。ただ、これからも、あの1円玉を気にして道を通る。